房総半島をとりまく海は、変化に富んだ地形や寒暖2つの海流、河川水などの影響によって複雑なものとなっています。
このコーナーでは、勝浦、館山、東京海底谷、九十九里浜、夷隅川河口の5つの場所を取り上げ、それぞれの環境や生きものの様子を紹介しています。
勝浦のカジメ海中林
勝浦周辺の水深5~20mの場所には、大型の海藻であるカジメの大群落が広がっています。
ジオラマでは、勝浦沖鵜原島周辺の水深約10~15mに広がるカジメ海中林のようすを再現しています。
館山の海底
房総半島の南の端に位置する館山湾は、夏には水温が25℃以上にまで上がる暖かい海です。ここでは、日本の温帯に分布する生きものの他に、熱帯性や亜熱帯性の生きものも数多くみられます。
ジオラマでは、館山湾の水深20m付近の岩礁や砂底のようすを再現しています。
時期は、一年を通して最も水温が高く、南の海からやってきた生きものも数多くみられる8月を想定しています。
東京海底谷
東京湾の出入口にあたる浦賀水道は、海底が深く切れ込んだ谷のような地形になっています。ここは東京海底谷とよばれており、ラブカやミツクリザメなど「生きた化石」として知られるサメの仲間もすむ、深海の世界が広がっています。
ジオラマでは、東京海底谷の水深約200m付近のようすを再現しています。潜水艇の中から深海の世界をのぞき込むイメージで作られています。
九十九里浜
九十九里浜は、千葉県北東部の太平洋岸に約70kmにわたってつづく砂浜海岸です。その陸側には、日本でも有数規模の砂丘地帯が広がっています。
ジオラマの中にいるミユビシキは、北極圏で繁殖する渡り鳥で九十九里浜には7月下旬から5月下旬まで、長い期間にわたって見られます。
夷隅川の河口干潟
勝浦の内陸部を水源とする夷隅川は、太平洋へと注いでおり、その河口域には小さな干潟が現れます。この干潟のまわりには、人の手が加わっていない自然海岸が残されており、湿地や海岸に特有な植物群落を見ることができます。
潮が引いた干潟では、さまざまな生きものに出会うことができます。
例えば、満潮線の近くに広がるアシの群落では、ハサミの大きいアシハラガニや、アシの根元についているクリイロカワザンショウガイなどがみられます。