令和3年度企画展 「漆黒のモダン 漆芸家 佐治賢使展」
概要
佐治賢使(さじ ただし)は、市川市を拠点に活躍した、戦後日本の漆芸界の巨匠です。 漆黒の漆に施したモダンなデザインが高く評価され、都会の夜景や川べりの景色、昆虫たちが紡ぎだす小さな宇宙、花と鳥が織りなす艶やかな装飾といった多彩なモチーフが、色漆、蒔絵、螺鈿(らでん)といった伝統的な技法を駆使して表現されています。 佐治の初期から晩年までの作品約40点と関係資料により、その創作活動の足跡をたどります。
会 期 |
令和3(2021)年10月30日(土)〜令和4(2022)年1月16日(日) 開館時間 9:00〜16:30 |
会期中の 休館日 |
月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌日) 年末年始(12月28日〜1月4日) |
入場料 |
企画展「漆黒のモダン 漆芸家 佐治賢使展」・第4期コレクション展「名品4-ルノワールと女性をめぐるイメージ-」共通券 一般 500(400)円 高・大生 250(200)円 ※( )内は20名以上の団体料金 中学生以下・65歳以上・障害者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料 ただし、11月3日(文化の日) 無料 |
主 催 |
千葉県立美術館 |
後 援 |
NHK千葉放送局、千葉県テーブルテレビ協議会、朝日新聞社千葉総局、 産経新聞社千葉総局、東京新聞千葉支局、日本経済新聞社千葉支局、 毎日新聞千葉支局、読売新聞千葉支局、千葉テレビ放送、 ベイエフエム、千葉日報社(順不同) |
関連事業 |
解説会 11月27日(土) 14:00〜15:30(開場13:30〜) 講 師:佐治ヒロシ氏(佐治賢使長男・漆芸家) |
展示図録
当館ミュージアムショップで販売中
主な展示作品
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《化粧箱》 昭和13(1938)年、 高さ20.1×横24.6×縦48.5cm、 東京藝術大学蔵 東京美術学校工芸科漆工部の、卒業制作として制作した作品。学校買上げとなった。ススキの穂が一面に広がり、その合間を縫うように、赤トンボが軽やかに飛んでいる。 |
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《蝙蝠蒔絵八角飾箱》 昭和19(1944)年、 高さ20.4×横25.4×縦25.4cm、 東京藝術大学蔵 フタには、蝙蝠(こうもり)が2匹描かれている。日本では気味悪がられる蝙蝠も、中国では吉祥を意味する縁起の良い生物である。八角形の側面には、撫子を描いた面と、菱繋文(ひしつなぎもん)を全面に配した面とを交互に配している。 撫子や蝙蝠の絵画的表現と菱繋文の幾何学模様とが調和している。 |
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《都会》 昭和35(1960)年、 縦185.0×横181.0cm、 東京国立近代美術館蔵 【※後期(12/7-1/16)のみ展示】 夕暮れ時から夜間にかけて、山手線に何度も乗車し、車窓からビルのあちこちをスケッチするなど、長い時間をかけてイメージを作り上げて制作した作品。都会の夜の喧騒、流れ去る景色の速さまでも表現している。 |
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《朝陽来》 昭和40(1965)年、縦130.0×横110.0cm、 株式会社高曾堂 六本木蔵 5羽のダチョウが描かれている。まっすぐにすらりと伸びた首、漆の黒を生かしたふさふさとした羽根の描写には、ダチョウの生命力があふれている。胴体の左下には朝陽が描かれており、その光に照らされ、背景は鮮やかな朱色で覆われている。 |
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《晨明》 昭和51(1976)年、縦72.7×横100.0cm、 個人蔵 晨明とは、夜明けの意味。黒漆地に、朝露に濡れる蜘蛛の糸を渡る蜘蛛が描かれている。蜘蛛には卵殻を用い、蜘蛛の糸は、螺鈿に青漆、朱漆などで色彩豊かに描き、今明けようとする微妙な光の中で、露が輝く様を見事に表している。ともすれば見落としてしまいそうな小さき生き物をテーマとして取り上げる斬新さと、高度な技術の融合が見事である。 |
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《彩夜》 平成7(1995)年、 縦91.2×横117.0cm、 市川市蔵 作者の自宅のある国府台の土手から、対岸の江戸川沿いの夜景をモチーフとした作品。青の色合いへのこだわりが強く感じ取れる。風景の輪郭は沈みながらも確かな存在感を保ち、幾層にも重ねられた建物や土手の輪郭、遠くに光る灯りや、建物から尾を引く光は、しみじみとして心地良い。 |
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