生態園の花粉

生態園の花粉

生態園の中に飛んでいる花粉を紹介するページです。

はじめに
 花粉というとスギ花粉ばかりが有名ですが、それ以外にも花粉にはたくさんの種類があります。生態園にはさまざまな植物が生えているので、その中を飛んでいる花粉も非常に多岐に渡っています。このページでは、その中から選りすぐりの12種類の花粉を紹介します。


空中花粉のしくみ
 まず色々な植物は、子孫を残すためにそれぞれの花粉を空中に飛ばしています。そのほとんどは,地面に落下すると土壌生物に食べられたり、あるいは太陽からの紫外線にさらされて数日のうちに分解してしまうのですが、運よく水たまりの中に落下した花粉は、日光や空気中の酸素から遮断されるために、嫌気性環境の中で腐ることなく何万年も保存されます。ですから池の底の泥をひとつかみ取ると、その中には周辺の森から飛んできた、様々な形をした花粉がぎっしり詰まっているのです。

図1 空中花粉の動き
静かな池の水面に落下した花粉は、水底に
沈んで空気や日光から遮断され、何万年も
腐らずに残る。(絵 : 奥田昌明)

生態園のしくみ
 生態園の中には、舟田池という絶好の水たまりがあります。もともと舟田池は江戸時代からある古いため池で、1989年の生態園開園時に客土の山砂を池の底に入れてしまいましたが、開園後30年たった現在では、客土層の上に青みがかった細かい粘土が厚さ10センチほど、たまっているのです。この土をひとつかみすくい取って顕微鏡でみてやると、非常に保存のよい様々な形をした花粉粒をたくさん見つけることができます。


図2 生態園地図
生態園地図.中央に舟田池があり、周辺を
ハンノキなどの保存林に囲まれている。

舟田池の底の花粉
 さあ、舟田池の底から見つかった花粉を見てみましょう。一粒の大きさは1ミリの30分の1ほどで、種類ごとに異なった形をしています。表面にトゲがあったり、空気袋がついていたり、表面に穴があいていたり、溝が走っていたり、これらは全て植物が子孫を残すための大切な仕組みなのです。
 なお生態園には自然の保存林の他に、タブノキ林やシイ・カシ林、モミ・ツガ林など千葉県の代表的な自然林が復元されています。ですから舟田池の底の泥は、千葉県を代表する花粉種の天然の標本庫になっているのです。

図3 舟田池の底の花粉群1
図3 舟田池の底の花粉群1
舟田池の底の花粉群1.スギ花粉は(A) (B) 2通り
の見え方をすることが多い。(撮影 : 奥田昌明)


​図4 舟田池の底の花粉群2
舟田池の底の花粉群2.カシ類とコナラ類は大きさ
や表面模様がわずかに違う。(撮影 : 奥田昌明)