パネル展「河川敷のいきもの 夜編」

河川敷のいきもの 夜編

 関宿城博物館の周辺は、利根川と江戸川の河川敷がひろがり、自然豊かな環境になっており、ここでは四季折々のさまざまな植物や昆虫などを目にすることができます。平成28年度にはパネル展「河川敷のいきもの」を開催し、御好評をいただきました。

 そこで、今回は普段あまり目にすることのない、夜の河川敷に現れるいきもの達にスポットをあて、その姿を捕らえた写真を展示いたします。

 本展覧会では、当館で実施してきた体験教室「河川敷のいきものさがし」の指導者であり、また調査協力員として長年御協力いただいております岩槻秀明氏が、実際に夜の河川敷で見つけたいきもの達の写真とコメントを中心に御紹介しております。また、併せて後藤優介氏からは、河川敷で見ることができる哺乳類の写真を御提供いただきました。

 夜のいきもの達の生態にも関心を持っていただき、河川敷特有の自然を知る一助となれば幸いです。

 

企画展概要
展示名 パネル展「河川敷のいきもの 夜編」
開催期間 平成30年2月20日(火)~4月22日(日)
会場 千葉県立関宿博物館 

(共催:千葉県立関宿城博物館友の会)

 

アカハネナガウンカ

 


昆虫(コウチュウ目)

ヤマトモンシデムシ

ヤマトモンシデムシ平地の開けた環境を好み、河川敷にも生息している。ただ、開発などの影響で急速に数を減らしており、環境省レッドリスト2017では準絶滅危惧(NT)となっている。動物の死骸を食べるため、生態系の中では「野山のお掃除屋さん」としての役割を担っていると言える。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

 昆虫(バッタ目)

 カンタン

カンタンクズの葉裏に隠れるようにしていることが多い。オスは翅を立ててルルルルル…という美しい声で鳴く。昼夜問わず鳴くが、鳴いている姿は夜のほうが観察しやすい。雑食性で、植物の葉のほか、小さな昆虫を食べることもある。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

 昆虫(チョウ目)

ニジュウシトリバ 

 ニジュウニジュウシトリバガ科の蛾で、幼虫はスイカズラを食べる。翅が脈に沿って深く切れ込むため、まるで「骨だけの扇子」のようにも見える。「骨」は翅1枚当たり6本で、計24本あるため、二十四の名前がある。すき間だらけの翅だがしっかり飛ぶことができ、撮影時も活発に灯火のまわりを飛んで難儀させられた。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

ベニスジヒメシャク

ベニスこの仲間は似たような模様の翅をもつ種類がいくつかあるが、その中ではもっとも紅色部分が多く、色鮮やかで美しい。本州以南に生息するものと、北海道に生息するものとで、生息地によって2つの亜種に分けられていれる。幼虫はタデ科植物(ミゾソバ、イヌタデなど)を食べる。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

 昆虫(カメムシ目)

 イネカメムシ 

 イネカメムシ よく似た種類にシロヘリカメムシがいるが、シロヘリカメムシはササ類につくのに対し、イネカメムシはイネにつき、斑点米の原因となるため害虫として嫌われてきた。すっかり姿を消してしまったカメムシだが、近年再び確認されるようになってきているという。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

アカハネナガウンカ 

アカハネナガウンカ 体よりも大きな翅をもち、全身が朱色で個性的な姿をしているウンカの一種。体長が5mmにも満たない小さな昆虫なので観察しづらいが、正面顔の表情もなかなか個性的である。ススキなどのイネ科植物を食べ、湿地に多い。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

その他の昆虫

 クサカゲロウの一種【アミメカゲロウ目】

クサカゲロウ美しい緑色の昆虫で、河川敷の草むらなどで、ひらひらとか細い感じで飛んでいる姿をよく見かける。昼夜問わず見かけるが、夜間に照明で映し出されたクサカゲロウの飛ぶ姿は幻想的で美しい。幼虫はアブラムシを食べ、成虫はアブラムシが分泌する甘露という液体をなめる。クサカゲロウの仲間は似たような種類が多く、同定は難しい。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

 クモ類(クモは昆虫ではありません)

ホソヒラタアブを捕食するハナグモ

ハナグモ昆虫は花の蜜を吸うのも命がけ。花の陰に潜んで、やってきた昆虫をすばやく捕まえて食べる蜘蛛がいるからだ。その代表的な存在がハナグモで、昼夜問わず、花陰に潜んで待ち伏せする。夜だから敵は少ないだろうと油断しているとこのように食べられてしまうのである。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

 両生類

 ニホンアマガエル

ニホンアマガエル炎天下の日中は陰で静かに休んでいたカエルも、夜になると活発に動きまわる。ニホンアマガエルはもっとも身近な場所にくらし、もっとも普通に見られる。体色は緑色に限らずさまざまだが、いずれも目を貫くように黒い線がある。利根川水系では、近年ヌマガエルが急増傾向にある。ヌマガエルは、従来関東にはいなかったもので、何らかの理由で持ち込まれたと考えられる。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

 爬虫類

ニホンヤモリ

ニホンヤモリヤモリは家守とも書き、家を守ると言われている。外壁をぺたぺたと歩き、照明につられて飛んできた昆虫を捕えて食べるため、虫から家を守っているように見えるかもしれない。野外では木の幹や杭などを這いまわり、昆虫や小動物を捕食している。夜行性で、照明のまわりに現れることも多い。

(写真・解説:岩槻秀明氏)

 植物

マツヨイグサ種北アメリカ原産の2年草で、河川敷や荒れ地に広がっている。マツヨイグサの仲間は種類が多いが、現在最も多く見られるもののひとつ。花は夜咲きで、蛾の仲間に受粉を託している。日暮れとともに開花し、翌朝にはしぼむが、秋になり気温が下がってくると日中でも花が見られるようになる。 

(写真・解説:岩槻秀明氏)

 哺乳類

ホンドギツネ

ホンドギツネイヌ科の雑食性で、日本では本州、四国、九州の平地から標高1800mくらいの高山帯まで幅広く生息する。地中に巣穴を掘り通常は単独で暮らす。主に夜行性だが、霧の深い日などは昼間も小動物や果実など食べ物を探し回ることもある。昔は日本人には身近な動物であったが、近年は数が激減している。

(写真:後藤優介氏(ミュージアムパーク茨城県自然博物館))

 鳥類

コミミズク

コミミズク目が黄色く、耳羽が小さいのが特徴。フクロウ科の仲間は、森林や草原に生息するものが多いが、コミミズクは河川敷や湿地、海岸などでもよく見られる。冬になるとやってくる冬鳥で、数羽単位で渡ってくる。ネズミなど草陰の小動物を捕まえて餌にする。また、夜だけでなく昼間も飛び回り、ときどき地上に降りて休息する。

(写真:後藤優介氏(ミュージアムパーク茨城県自然博物館)