ミニトピックス展「新鉱物『房総石』の発見」

ミニトピックス展
『新鉱物「房総石(ぼうそうせき)」の発見』

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開催期間 令和3年3月23日(火)~令和3年5月30日(日)
休館日  毎週月曜日(祝日の場合翌平日)
会場   千葉県立中央博物館 地学展示室前廊下

 


 

 「千葉石(ちばせき)」に次ぐ千葉県で第2の新鉱物として「房総石(Bosoite)」が発見され、2014年に国際鉱物学連合(IMA)によって承認されていましたが、2020年12月に国立科学博物館の門馬綱一(もんまこういち)博士を筆頭とする記載論文が発表されて、正式に新種として認められました。
 そのことを契機として、房総石(千葉石に付随)の標本を展示すると共に、鉱物の性質や産出状況について解説します。

 


房総石の性質

 房総石は、千葉石と同様に二酸化珪素(シリカ:SiO2)がカゴ状の結晶構造をつくり、そのカゴの内部にメタン、エタンなどの炭化水素ガス(天然ガス)分子を含む特殊な鉱物です。千葉石よりも大きな炭化水素分子を含むことができる(大きいカゴを持つ)のが特徴です。

fig.1●炭化水素ガスを含むシリカ鉱物3種の結晶構造の模式図(門馬綱一氏提供)
水分子(H2O)がカゴ状の結晶構造をつくる天然ガスハイドレートと同じ結晶構造を持ちます。メラノフローグ(せき)と千葉石は等軸晶系、房総石は六方晶系(Hexagonal)の鉱物です。

 

房総石の産出状況

 房総石は、南房総市の千葉石産地において千葉石に伴うようにして産出します。ただし、この鉱物の結晶はまだ非常に小さいものしか発見されておらず、肉眼ではほとんど見えません。千葉石があれば、房総石も多かれ少なかれ伴っているようです。

fig.2
●千葉石と房総石の偏光顕微鏡写真(直交ポーラー)(門馬綱一氏提供)
千葉石は等軸晶系の鉱物のため、直交ポーラーでは暗黒になります。一方、房総石は六方晶系のため、光って見えます。

fig.3
●千葉石と房総石の電子顕微鏡反射電子像(門馬綱一氏提供)
この画像は物質の密度の違いによって濃淡が示されます。
房総石は暗色で、千葉石よりも密度が小さいことがわかります(上の写真を時計回りに約45度回転させた位置に相当)。

 南房総市荒川では、炭化水素ガス分子を含むシリカ鉱物3種類がすべて発見されており、非常に貴重な場所といえます。
 これらの鉱物は結晶内に天然ガスを閉じ込めたタイムカプセルとみなすことができ、地層中での有機物の分解やガスの挙動を調べるための新たな手がかりになると期待されています。

 

記載論文:

Momma, K., Ikeda, T., Nagase, T., Kuribayashi, T., Honma, C., Nishikubo, K., Takahashi, N., Takada, M., Matsushita, Y., Miyawaki, R. and Matsubara, S. (2020) Bosoite, a new silica clathrate mineral from Chiba Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 84: 941-948.
(日本語タイトル:房総石,日本の千葉県から産出した新たなシリカ包摂ほうせつ化合物鉱物)