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平成24年度 秋の展示 おもしろ研究紹介

当館が行っている多様な研究テーマの中から4つを選び、それぞれの目的や成果を紹介します。すこしマニアックな研究者の世界をのぞいてください

 会 期:平成24年10月6日(土)~12月2日(日)

 会 場:千葉県立中央博物館本館・第2企画展示室



 
・南房総 嶺岡山地の変な石はどこから?
 地学研究科 高橋直樹

嶺岡山地に露出する玄武岩の枕状溶岩 千葉県の大地はほとんどがやわらかい砂や泥の地層からできています。そんな‘石なし県’千葉で数少ないかたい岩石の産地が、南房総の嶺岡山地です。ただし、ここで産出する岩石はとても風変わりです。地球深部のマントルをつくる蛇紋岩、海底にマグマが噴出して固まった玄武岩の枕状溶岩(右図)など、現在の房総半島の位置からは考えられないものです。これらはもともとここにあったのでしょうか? プレートテクトニクス理論の誕生以来、地球上の岩石は様々に移動することが知られるようになりました。房総半島は現在、北米プレートの上に載っていますが、すぐ近くにフィリピン海プレート、太平洋プレートなど別のプレートが存在します。しかも、嶺岡山地の岩石ができた時代は、現在とプレートの配置が違っていた可能性もあります。嶺岡山地の岩石の起源の候補はいくつもあるのです。それを探るのが私の研究テーマです。
 
・遺跡の貝を調べる
 動物学研究科 黒住耐二

中国河南省安陽での殷墟出土貝類調査 この10年間に、私が個人の研究・研究プロジェクトへの参加・分析/同定依頼を受けたもの等、様々な形で関わった各地の遺跡出土貝類について、簡単に紹介します。千葉県の東金市/養安寺遺跡、鳥取県の国指定史跡/青谷上寺地遺跡、沖縄県のフェンサグスク等の国内の遺跡だけではなく、韓国/蔚山/太白江・城岩洞遺跡、中国/河南省/殷墟(右図)・広西チワン族自治区/珍珠城遺跡、ベトナム/ニャチャン/ポーナガー搭、オマーン/ラスジプス、ペルー/ナスカの地上絵等の国外遺跡も調査しました。
 遺跡出土貝類には、食用の他、装飾用の貝殻、真珠採集由来のもの、遺跡周辺の古環境を復元できる微小な種類等々、様々な由来のものが含まれています。出土した貝類の詳細な同定・生死判別等の観察・現生個体の生息環境との比較等から、これまでの研究に新たな視点を付け加えることができました。
 
・水生昆虫の謎に迫る
 環境教育研究科 倉西良一
 
ミサキツノトビケラの蛹(左:背面, 右:側面) 今回紹介するのは、かつて幻の水生昆虫といわれたミサキツノトビケラという昆虫です。ミサキツノトビケラは、約100年前、神奈川県の三浦半島三崎で採集された個体をもとに新種として記載されました。戦前、ため池が沢山残っていた頃ミサキツノトビケラは関西を中心に生息が確認されていました。しかし戦後になると記録がぴたりとなくなってしまいます。1994年の三重県での再発見まで約半世紀、この種は絶滅したと考えられていました。 私は、1999年に横芝光町の乾草沼でミサキツノトビケラを見つけることができました。これは東日本からは実に88年ぶりの再発見でした。その後も関東では乾草沼からしか見つかっておらず、千葉県では絶滅危惧種とされています。ミサキツノトビケラの蛹の画像(右図)は本邦初公開。また最近の水生昆虫研究の結果(他の昆虫類を含めて)を紹介します。
 
・水生植物をよみがえらせる
 生態学・環境研究科 林 紀男

印旛沼の実験区に蘇らせた沈水植物群落 富栄養化し藍藻類アオコで水面が覆われる印旛沼では、水の中に葉を広げる沈水植物が絶滅状態です。土壌シードバンクに眠る埋土種子に着目し、かつて繁茂していた印旛沼産の沈水植物をよみがえらせる取り組みを実施しています(右図)。印旛沼のさまざまな地点で、かつての沼底の土を採取し、バット型水槽に撒きだしました。この芽生えを待つ取り組みを7年継続し、遺伝的情報を攪乱することのない印旛沼土着の沈水植物26種、浮葉植物6種を揃えるに至りました。これらの株を継代栽培しながら、印旛沼に復活させるための取り組みを並行して実施しています。アメリカザリガニなどによる食害対策に苦慮しながら、市民・行政・研究者が協力して印旛沼の水生植物の再生を目指した取り組みを進めています。